3.20シンポ開催メモ

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おかげさまで190人を超える参加者が会場を埋め尽くし、熱気に包まれた議論が繰り広げられた3月20日の日本語教育学会公開シンポジウム。

以下に、主催者の一人が記録した開催メモをお届けします。

報告者3人、コメンテータ4人、司会、タイムキーパーが事前打ち合わせを終えて開始10分前に会場に入りました。

奥行30メートルの縦長の200人教室は、8割方埋まっており、あちこちにおしゃべりの花が咲き、とっても賑やか。たくさんの知り合いの顔も見え、閑古鳥が鳴いていないことにまずは感謝。と同時に、緊張に背筋が伸びました。

進行の手筈を最終確認したのち、前日の下見のときに接続・動作確認を済ませてあったプロジェクターにパソコンを接続して準備万端。と思いきや、プロジェクターにパソコン画面が映らず慌てました。今か今かと開会宣言を待つ聴衆の熱い視線を受けながら、文字通り冷や汗が出ました。

このプロジェクタートラブルでつまづき、残念ながら2分ほど遅れて始まったシンポジウムですが、名誉挽回とばかりに繰り出したボケもスベルことなく、その後は順調に進みました。

・開催宣言
・趣旨説明+ウォーミングアップ(3分)
・報告者とコメンテータの紹介(5分)
・法制化ワーキンググループの代表3人による報告(50分)
・ゲストスピーカー4人の方々によるコメント(40分)
・20分の休憩(質問・コメント用紙の回収)
・質疑応答とディスカッション(58分)
・尾崎会長による総括(8分)
・閉会宣言、6.26シンポの宣伝
(予定を8分ほどオーバーして終了)

ワーキンググループの発足経緯、目的、メンバー、議論の内容、理念、法制化の必要性などの疑問に答えるという本シンポジウムの企画趣旨が実際に実現したかどうかが、主催者にとっては最大の関心事です。

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まず、自分の見る限り、そして他の数人の報告を聞く限り、首をコックリコックリしている人が皆無だったことは嬉しい驚きでした。

・目を輝かして聴き入る人
・報告にうなづく人
・わからなそうな表情の人
・疑いの表情を隠さない人
・一生懸命メモをとる人
・何か感慨深げに眺める人
・発言したそうに乗り出す人

とにかく強い関心を示す人が目立ちました。

パンフレットに記載された内容に沿った報告者3人の話は、かなりの疑問に答えることができたようで、ほっとしました。

ただ、それで参加者の頭がしっかりクリアになったかと言えば、残念ながら、まだ漠然と不満を抱える人が多くいるように見受けられました。

その状況を救ってくださったのは、次いでマイクを握った4人のゲスト・コメンテータの方々です。

◆法律家の立場から、法体系のわかりやすい概説に始まり、法制化WGで議論しているそれぞれの法案骨子項目を実現するために、法体系全体のどこを攻めればよいか具体的なアドバイスをくださった佐藤潤一さん。基本法案、個別組織法案、既存法の改正案、条例案などさまざまな扉を意識する大切さがわかりました。特に、現場から地元自治体への働きかけが条例に反映される可能性は案外高いという情報に聴衆の目が輝きました。
◆日本語学校校長で現役日本語教師でもある立場から、厳しい状況に置かれた日本語学校は、今後もその豊富な人材とノウハウを提供して今まで以上に社会の要請に応える用意があるとお知らせくださった奥田純子さん。積極的な連携へのラブコールを大学側へ投げかけられました。包括的で一貫した国の方針があり、それが法制度に反映されれば、日本語学校の潜在力が存分に引き出される日も遠くないと確信できました。
◆日本事情教育研究と哲学を専門とする大学教員の立場から、法制化の中で、社会活動を支える言語を学習することについて基本的な考え方を示す「基本法」の制定がもっとも重要だと強調した砂川裕一さん。また、大学の日本語教育関係者は、日本語教育の認知度を高めると同時に、隣接領域をはじめ様々な領域の研究者との協働関係を深める必要があると訴えました。法制化の必要性、国会や政府への働きかけの重要性という概念に、さらなる肉付けが施されました。
◆各種審議会で長年、日本語教育政策への提言に関わってきた立場から、一般の日本人、そして日本語教師の「日本に住む者は日本語を話すべき」という暗黙の了解事項をゼロから問い直してはと提案してくださった西原鈴子さん。日本語教育政策のマスタープランを考え、法制化へのアクションも繰り広げる意図があるのなら、日本語だけが公用語であるべきなのか、もしそうならその根拠は何なのか確認する作業を怠るべきでないし、それを法律で定義するべきかもしれないと示唆してくださいました。

4人のコメンテータのコメントは、相互に補完し合い、全体として一つの「作品」のように、法制化WGの目指す方向、その意義、課題を照らし出しているように思え、その企まざる「チームプレイ」に感銘を受けました。

休憩時間に入った直後に、司会の嶋田さんが、コメンテータの方々に「事前に綿密な打ち合わせをなさったんですか」と尋ねていたのも、同じ思いからだったのではないでしょうか。

さて、休憩時間。会場の雰囲気から、多くの質問やコメントが届くことに疑いはありませんでした。

案の定、たった10分に制限した回収時間に約30枚の質問・コメント用紙が次から次へと3人の報告者の机の上に積まれました。200人弱の参加者からの反響としては非常に大きなものです。

多数の励ましやエールに対する感謝の念を噛みしめる間もなく、質問・コメントの整理に追われました。

そして、ディスカッションタイム開始。冒頭に、与野党2人の議員からの応援メッセージを司会が読み上げました。民主党の阪口直人議員、自民党の馳浩議員のことばはそれぞれ心に響き、勇気を与えてくれるもので、大きな拍手が湧き起こりました。

質問やコメントは非常に多岐にわたりました。ロビーに関するもの、政治家の認識についてのもの、地域日本語教育の体制整備に関するもの、その他骨子の内容に関するもの、日本語教育のあり方に関する理念についてなどです。ただ、パンフレットに載せたQ&Aの内容にはみなさん目を通されたようで、基本的な質問や大きな誤解はほとんど見られず、どれもこれもこれから法制化WGの議論を深める際に参考になる多くの示唆を含んでいました。それはとってもありがたいことです。

とはいうものの、その量の多さに圧倒されたこともあり、てきぱきとすべてに答えることはできませんでした。かろうじて半分に答えたところでしょうか。

とにかく、多種多様な質問、コメントが寄せられました。頭の中が、グルグル、ゴチャゴチャになりながら、必死に答えを探しました。

どこまで疑問に答え切れたかは判断に苦しむところですが、最後まで活気が保たれたことだけは確かで、それは大いなる充実感を与えてくれました。

ただ、とっても残念だったのは、4人の「パネリスト」に議論に加わっていただく時間的な余裕がなかったことです。

フロアにいらした役所関係者の方に発言していただいたり、地元で実際に政治家にアプローチして効果を実感した体験談を伺ったり、日本語教育の現場から国に対して政策提言を長年発信し続けてきた大先輩から、熱烈なる励ましの言葉をいただいたりしているうちに、55分予定のディスカッションタイムは5分遅れであっという間に幕を閉じました。

静かに始まったものの、多くの人が予想したとおり途中から熱い語り口へと向かった尾崎明人学会長の総括コメントは、現場の経験とノウハウを結集しようと訴えるとともに、地元市民から議員への訴えかけがいかに大きな力を発揮するかを強調しました。

大きな拍手が治まらないうちに、司会による閉会宣言と6.26シンポのチラシの案内で「本日はお疲れさまでした」となりました。

主催者側としては、改善すべき点も多々ありますが、会場を去る参加者の満足げな表情に、シンポ準備のための汗も涙もきれいに洗い流される思いがしました。

晩のビールが格別おいしかったのは言うまでもありません。

(K.I.)

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